豪雨災害を伝えるマスメディアの品格

リポーターの心無いマイクに苛立ちを覚えた

自衛隊と共に家族の安否を確認にいった

男性が女性の待つ岸に二人の家族の訃報を

持って帰ってきた


泣き崩れる女性の姿になんとも言えぬ表情で

一緒に行った自衛隊員が

静かに後ろを向いた

その映像だけで充分だ


男性に抱えられて泣きじゃくりながら

立ち去る女性を捕まえてインタビューをする

インタビューになる訳が無い

雨が降る前は、普通の日常を生きていたのだ

突然の死に別れに気が動転するは、当たり前だ

その人に対して人間として

相応しい向き合い方は、マイクを無理やり

向けることなのか

あの自衛官のようにそっと

後ろを向くことではなかったのか

リポーターの人間としての

理性を疑う

被災者のかなしみを見世物にしてはいけない

この報道姿勢に嫌悪を覚える


インパクトのあるいい映像だとか言っている

報道に人間の温もりまで売り渡した

テレビマンの姿が目に浮かぶ


もし、その人の大切な人が同じ目にあって

リポーターに同じようにマイクを向けられたら

想像する必要がある


自衛官がそっと後ろを向く姿は、

どんな言葉をかさねるよりも雄弁だった