ゾンビボ-イの自死

人は、

いや目を有する生き物は、

己を見ることは出来ない

鏡とて左右が逆に映る

ゾンビボ-イは、肉体をカンバスにして

自分自身に刺青を施すことで

自由自在に戻す事の出来ない自らを作りあげた

Youtubeで化粧によってありのままの自分に

一瞬戻った時、ほっとした表情を見て取ったのは

私だけであろうか

神の与えし容姿なら神を恨みも開き直ることも

できよう

自分に責任は無いのだから

他人の心の鏡に如何に映ろうが本人に責任は無い

しかしゾンビボ-イは、自らの責任に置いて

刺青を施した、誰のせいにも出来ない

難解な遺書は、理屈をくらぬばならなかった

言うに言えない天然の容姿を手放した痛み

ではなかったのか

ゾンビボ-イの自死が気になってならない


気になるといえは、

郊外のショッピングモールの端っこを

エレファントマンかと見紛うような人を

車の中から見たことがある

10年余も昔の話である

ふと、思い出す一瞬である

人は、己を見ることは出来ないが

他人の目には否応なく晒され無言の圧力に

のまれる

私には、この自分の意志とは関係ない容姿の

不自由さが私の自由を保証する

少しでも栄える口紅を選ぶ自由が愛おしい