自殺を考えている若い君たちへ

この世に生まれたからには、心が震えるほどに
美しい何かを見つけ出すまては、死んではいけない

お母さんが美しいと言ったから、
先生が美しいと言ったから
世間が美しいと決めたから

借り物の美しいは、ダメ
誰がなんと思おうが関係ない
あなたが、心底美しいと思う何かを見つけ出した時
もう一度死と向き合えばいい
美を見つけ出すためにこの世に生まれて来たのだから

子供は、弱い、お金も、自由も限られる
それでも美しい何かを見付けるために
心を砕く必要がある

それは、音や音楽かもしれない、人の声や指かもしれない、太陽や月の様かもしれない
知っていますか、小中学生は、無料で入れる美術館があることを
香りかもしれない、肌に触れる風かもしれない
見馴れた風景かもしれない、人の心かもしれない

一つも見つからないなんてことはない
安心していい
それほどこの世は、無残ではない
探し続ければ必ず見つかる
本のなかの文章かもしれない、図鑑の写真かもしれない

まずは、戦略をたてよう
早起きして、散歩してみるとか、図書館で美術書を開いてみるとか、ファップル天体望遠鏡の宇宙の写真を眺めてみるとか、自転車でちょっと遠くまで走ってみるとか、人に聞いてみるとか、野菜育ててみるとか、

コツは、心をけちらないことだ 心をけちらず美へのアンテナを立て続けることだ

自殺をする前にする事がある、自分にとっての本物の美を見つけ出すことだ
見つけ出した美こそがあなたが、生まれてきた意味なのだから
簡単に見つからないかもしれない、でもこの世には、確かにある

美は、あなたを待っている

丸木美術館とであって1

丸木美術館は、埼玉県、東松山市にある

小学四年の時、ラブホテルを縫って都幾川
ほとりを目指した

はじめて、原爆の図 とであった
おそろしかった


ある時、丸木位里さんのお母様である
スマさんの絵が順路の最後に加わった

そのことで、
人間への絶望だけではない、
生物の人々の再生をも見せてくれる美術館となった

スマさんの絵は、原爆の地獄を味わってもなお
花は、根をしっかり大地に突き刺し
鳥は、羽ばたき 鶏は楽しげだ
馬は、めぐる茎に実る瓢箪と踊る
ねこは、母ねこの懐に丸まって団子をつくる
私の目は、母ねこの目と出会う
確かな息吹だ

スマさんは、字を読めぬ書けぬ、そういう時代に生きた人なのだ
ましてや、絵を学んでいるはずもない

しかし、その絵には、ちゃんと生命が宿っている


生きるために、何千何万かいと土に鍬をいれ
植物の根を土を、ミミズを、空気、水、野山、太陽、ねこ、人 、 生きんがための全てを五感で六感でみきわめてきた人なのだ、広島の大地で

自然には、無限の色が調和する
生きるための眼差しが、絵を書くためだけの学びを
しのぐ


スマさんは、画学生に殺されてしまう
絵を書く学びの苦しさに、評価されない絶望に溺れ
スマさんの、奔放な生命力があふれる絵の力が見えなかったか
教育とは、何か この学生さんがあわれでならない

スマさんの、絵は、死してなお21世紀に生きる我々に学びの本質を突きつける

絵は、人間のためにある

一文字

大切な師が奥様を亡くされた
やさしいお人柄に、私は、救われていた

師の悲しみに かける言葉もみつからず
時をまって
もうすぐ、春は来ます と小さな贈り物を
届けた

春が来るのではない
悲しみのなかにいる先生の元に
春はくるのです

は の一文字に万感の思いを込めた
この、一文字を、日本語を
こんなにありがたいと、思ったことは、ない