桐箪笥
祖母の桐箪笥をけづりなおして
持つてきた
今となっては、可愛そうなことをしたと思う
着物類は、全て実家でしまってもらっている
場所がないのだ
掃除の行き届かない無駄なスペースが
いかに豊かなことか
そこに文化が詰まっている
お祭りの衣装
お盆の提灯
風鈴
お正月用のお膳
枚挙に遑がない
効率のいいツウバイホォ-には、
入る余地がない
捨てなければ生活が立ち行かぬ
私は、捨てられぬたちである
我が子が使ったガラガラまでとって置きたい
無理である
桐箪笥に何が入っているか
それぞれの普段使いが入っている
気密性のいい、呼吸する箪笥に
ジ-ンズ、カッターシャツ 、Tシャツに短パン
使い捨て可能なものばかりだ
梅雨時など開け憎いと文句タラタラである
箪笥は、衣類に湿気を移さないように
呼吸しているのに
気の毒極まりない
猫に小判 豚に真珠もここに極まれりである
イケヤ、ニトリでいいのだ
文化とは、時間、空間、お金、全てに余裕が
無ければ成立しないのか
丁寧な生活
技術の伝承さえない
新しい文化が生まれる
もう生まれているのに気づけないのだ
ロ-トルである