春と聞くだけで
春と聞くだけで、すぐ明るい軽いうす桃色を
連想するのは、閉ざされた長い冬の間のくすぶった灰色に飽き飽きして、のどにつまった重い空気を
どっと吐き出してほっと目をひらく、すぐに
飛び込んで欲しい反射の色です
この書き出しにまず惚れた、
平明で、暮らしの様子
お人柄までも彷彿とさせて、一言の無駄もない
漢字の散りばめ方が秀悦だリズムを壊さない
吉野せい 鼻をたらした神 だ
ノンフィクションである
私は、随筆の最高峰だと思っている
この本は、死ぬまで私の傍らになければならない
例え目が見えずとも
例え、読めずとも
私が人間であるために
林竹二の本も、そうなのだが、
この本も、とくに大学出に理解されない場合が多い
辛酸舐めて、はじめて理解してもらえる書物やもしれない
私は、不幸だったのだろうか
矛盾との同居は、誰と一緒に暮らした年月より
はるかに長くは、なったが……………