金魚のぬしさま享年15歳ぐらい 逝く

今年の夏は、厳しかった

冷房がついているとはいえ

しんどい身体に鞭打って

水槽に朝晩手をっく込み

ぬるい時には氷を2、3、4、5と浮かべた

前の晩、腹減ったと水を外え飛ばし

餌を所望してぬしさま就寝

翌朝、水がにごり

長く白い半透明のおびれをたらし

横向きに浮かんでいた

すでにぬしさまではなかった

タンパク質の塊にすぎなかった

般若心経を諳んじながら

骸をビニール入れ何が入っていたのか

頃合いの木箱に収め

クリスマスのケーキに結ばれた赤いリボンをかけ

半紙を引いてそっとその上に置き

ゴミ袋の口を閉めた

テレビの下にもう水槽は、無い

もう二度とテレビの前の床を

ぬしさまが濡らすことはない

いて当たり前の15年余

足らない日々に慣れずにいる