偽善

私がまだ子供だった頃

乞食さんがいた

家を回って10円20円と施しを受ける

別名お貰いさんとも言われていた

大東和戦争がおわって20年とたたない頃の事

お巡りさんに連れられて10円を返しに来てくれた

事があった

そうやって返して回っているとのことだった

祖母がありがとう頑張ってねと言ったことが

何故か嬉しかった

一軒一軒返しに回っているのに付き合っている

お巡りさんが偉い人に見えた

乞食といえども同じ人間であると

慈悲のあった時代のことである



ネットである文章に出会った

マックで表を見ているとホームレスがいた

鼻をおさえたり、まるで何もいないかのように

流れていく人々に

力無く黙ってそこに居続けるしかない様に

心が押しつぶされそうになった


ハンバーガ-となけなしの1万円を渡した

涙ながらに感謝されたが

ふと見るとまだ何人かの

ホームレスがいた

自分は、偽善者だ

という書き込みだった



彼の行為は、

人の間を生きる人間の行為にほかならない

人間を人間扱いしなくなって久しい

この若者が自身の行為を偽善だと感じてしまう

窮屈な世の中にしてしまった

私の大人の責任は重い

人は、相身互いお互い様である

そんな敷居の低さがあったら

無けなしの1万円をはたく重苦しさではなく

ちょっと千円で済んだはずである

ホームレスに生きずらい世の中は、

人間にとって生きずらい世の中なのである

優しさの裏には、膨大な人として生きた物語がいる

大人に飼い慣らされていては

無痛の世界で生きていては

ホームレスという人間でさえも

自己責任と人間かいから突き放す

なかに東京タワー建設に鳶として携わった人

を知る

弱肉強食が学校でも跋扈する

貧富の差は増す一方である

バランスの悪い世の中は、

人から人間性を奪う