猿はサル
山に一番食べ物のない時期は、夏なのである
山を背負っている、拙宅には、
夏、人間には、都合の悪い
凶暴な野ザルがやってくる
去年は、百合の蕾を根刮ぎ召し上がって
さっていった
家という檻の中でじだんだを踏んだ
同じ猿なのに
なんと、動物園のサル山のお猿さんの品のいい
ことか
まさに、飼い慣らされているといった趣だ
今年は、文明の力を用意して
野ザルさまのお越しを待ち兼ねている
野ザル撃退用花火なるものを
我が子がプレゼントしてくれたのだ
百合の蕾を死守するのだ
空腹だと可愛そうだから、おにぎりでも
置いておこうかと言ったら
我が子に、
偽善者め、野生に失礼だと言われた
一言もございません ごもっとも
花火使おっかな、使うのよそおかな
その前に、都合により百合、植えっばなしなのだ
蕾付けないかもしれない
人まね小猿の絵本好きだったのに
夢と消えた 野生は、厳しいのだ