オルドルフ人形の悲劇
我が子が3つになった頃この人形を作った
子供の気持ちに寄り添えるように
無表情に作るのだ
能面に似てるが基本能面は、命ない人の
面差しなのでちょいと意味が違う
元気よく、材料ケチらずはち切れんばかりに
しっかり作る
不思議と嬉しい時は、なんとなく機嫌よく見えるし
悲しい時は、心閉ざした表情に見える
密かに、結婚の折は、今までの人形と、
新しい人形を新居に持たせようと思っていたが
その夢を5歳で木っ端微塵に砕かれた
手に穴開けながら植えた髪を残バラ髪に
きりきざまれてしまったのだ
自分が髪を切られるのだから
人形の髪を同じ様に切りたくなる気持ちはわかる
100歩譲って分かることにする
が我が子は、5歳で言い放たのだ
わかっちゃいるけどやめられないんだよね
そりゃね、その言葉を、感情が先走りそうになる
時、安定剤代わりに言ってました
言っていたのは、母親です、私です
が、この期に及んで、切ったお前が言うか
この時程、インターバルをとりたいと思った
ことは、無い
また、髪を植え直す気には、なれなかった
未練がましくも、残バラ髪の人形は、本棚の奥に
無表情で座っている
人形と私の悲劇であった